インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌

インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌

インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌

インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌、この映画の時代はフォークソングが花開く前夜。
ルーウィンは歌で食っていこうとするが、その生活もカツカツで、定住所を持たず知合いの家を転々とする生活。人に助言を受けても、自分の矜持を曲げることはせず、それがやはり売れない一つの原因ともなり、自分の思う方向へは進んで行かない。
時代は50年前だが、彼の生き方は今でも通じることがあるだろう。
若さゆえの誤ちか、仲間の彼女を妊娠させてしまったり、食う為に昔やっていた漁師に戻ろうかとしても、それがうまくいかなかったり。
歯車が狂っているということではなく、どこかで人生がちぐはぐになることがある。それをシニカルでもなく、かといって優しくもなく、淡々とルーウィンの動きを追っていく映像は素晴らしい。
なんといっても主演のオスカー・アイザックの、一見乾いたような感じがいい。
キャリー・マリガンも、彼女独特の雰囲気全開で、それがまたこの物語にマッチしている。
パッピの「ジーン(キャリー・マリガン)としかヤってない」という言葉に、船員にも戻りきれず歌の道に帰ってこざるを得なかったルーウィンは荒れていて、出演者の女性に向かってヤジを飛ばす。その旦那がやり返しにきた訳だが、ルーウィンを殴った帰り際に「こんなクソみたいな街、くれてやる」と言う。これでルーウィンの生きていく場所が確保された。夢を掴み切れなかった男の物語だが、あからさまではないにしても、作者の暖かい視線が感じられる作品である。